2018年2月18日日曜日

【落とし穴】~心は、こうして殺される~

サイコパス。
自己愛性パーソナリティ障害者。
ソシオパス。
いずれも、お世辞が得意で、自分を魅力的に見せるのが抜群にうまい連中ばかりだ。


知り合って間もない頃は、「この人すごい」ってつい、思ってしまうよね。
だが、ここで相手を理想化してしまうと、後々大きなツケを払わされることになる。
二人の関係が崩壊する時にあなたが負うことになる傷、そのほとんどが実はこの理想化という心の働きが原因となって生じているんだ。


何も疑わずに近付いてきた被害者は、あいつらが仕込んでおいた「落とし穴」にまんまとはまる。
しかも、被害者はなぜかそこから脱け出そうとする意欲を失ってしまうのだ。


1.まずはサイコパスがあなたを理想化し、さかんに持ち上げ。奴らの狙いは、あなたから惜しみなく与えられる注目と賞賛。 

誰かとの距離を急速に縮めたかったら、「愛情爆弾を投下(love-bombing)」するのが一番手っ取り早い。
有頂天になったあなたは、自分が受け取った分だけの「愛情」をすぐさま相手にも返そうと俄然張り切る。ずっと待ち焦がれていたソウルメイトにやっと出会えた。夢を見ているようだ。
誰よりも情熱的で、誰よりも完璧な人からの愛に包まれ幸せいっぱいのあなたは、あふれる恋心を毎日毎日相手へと伝えずにはいられない。

2.「こんなすてきな人に巡り会えたなんて」。興奮と感動であなたは黙っていられず、友達や家族にノロケまくる。 

この「お世辞ショウ」、実は大勢の目の前でさんざん繰り広げられているから、周囲の人々はみんな目撃している。 わざわざあなたから説明するまでも無い。 
FacebookなどのSNSを使う人ならわかるだろうが、ああいった場所では、あなたと相手との間にやりとりされる理想化のプロセスが全世界に生中継されてしまう。 
とはいえ、大観衆からの注目と拍手喝采を集めるのだから、あなたとしてもそう悪い気はしない。自尊心をくすぐられる。

3.心の殺し屋(emotional abuser)が、少しずつあなたとの間に距離を置き始める。 

相手は徐々にあなたから遠ざかっていく。最初の頃の動きはあまりにも微妙でわかりにくいため、つい見過ごされてしまいがちだ。
そのうち、あなたも「何かが変だ」と違和感を覚え始める。
だが、何がおかしいかははっきりとは説明できず、そのままスルーしてしまう。

前よりも連絡の回数が減った。電話も来ない。
ひょっとしたら、相手の熱は冷めつつあるのかもしれない。
付き合いを面倒がっているかのように、あなたとの待ち合わせにはいつも遅刻して来る。

1.と2.で書いた通り、あなたとしては相手の理想化をストップする理由が特に見当たらないため、あくまでも相手を信じ続けるつもりでいる。
日を追うごとにひどくなっていく相手の態度や行状にも目をつぶるばかりか、逆に理想化をさらに推し進めてしまう。 
あの夢のような日々よもう一度、と願いながら。 
「キチガイの元カレ/元カノと一緒にされてはたまらない」
「私の方がもっとおおらかで、心が広いんだから」

4.「あの人は素晴らしい人」。友人・家族、そして自分にさかんに言い聞かせるかのように繰り返す。 

二人の仲は悪化の一途をたどっている。なのに、あなたはまだ、「私が愛とポジティブなエネルギーを充分に注ぎさえすれば、きっと何もかもうまく行く。」と信じてやまない。

この段階ともなると、サイコパスは欲望の赴くまま、やりたい放題、好き放題。
それでもあなたはまだ、あいつのことを絶賛している。 

5.サイコパスからの虐待がさらに激化。 

いよいよ三角関係の登場だ。
あなたは沈黙と非難という刑罰に処せられる。
そして、「頭おかしい」「神経質すぎる」とさんざん罵られ、挙句の果てには捨てられる。

この期に及んでもあなたはまだ、相手との復縁を夢見ている。
相手を取り戻せるものならどんなことでもする、とさえ言わんばかりに、崖っぷちまで追い詰められている。
毎日泣き叫び、懇願調のメッセージを送る。
目の前の現実を見ようともしていない。
まぁ、「あの人」があなたにとっては人生の全てとなってしまったのだから、無理も無いけどね。

誰かに助けて欲しい。
でも、誰にも話せない。 
だって、周囲の誰もがあなたと奴との関係は「完璧!」だ、って信じ切っているのだから。 

6.捨てられた。 
あなたは、ようやくバラバラになったパズルのピースを一つ、また一つ...と拾っては、合わせ始める。 
Google検索で「サイコパス」という言葉にぶち当たったあなた。
「うわっ、何これ。気持ち悪いくらいあの人に当てはまる!」
で、しばらく思い悩む。

サイコパスについて知れば知るほど、怒りがふつふつと湧いて来る。
もはや抑え切れないまでに、煮えたぎっている。

今となっては何もかもが腑に落ちる。
自分はキチガイなんかじゃなかった、との確信に、あなたは百万の援軍を得た気持ちになれた。

これで「真実」があなたの中で完全にひっくり返った。
もう二度と元に戻ることは無いだろう。


7.落とし穴 
周囲の誰一人としてあなたの話を信じようとしない。 
...だって、あれだけ熱烈に愛を公言していたのに、突然それを否定するなんて、おかしいと思わない? 
...よりによってあなたが「虐待の被害者」だなんて、どういうこと? 
...あなた、幸せだったーーー浮かれまくっていたじゃないの。素晴らしい相手に恵まれ、いい思いしている、って自分でさんざん言ってたくせに! 
...そこまでひどい事態だったなら、どうして相手のことを絶賛していたわけ? 
...被害者だ、ってホント?話からは、あなたが単に頭のおかしい、憎しみだらけの人って風にしか聞こえないんだけど?相手にフラれた現実が飲み込めてないだけじゃないの?


心の殺し屋は、こういう具合に【落とし穴】へとあなたを導き、突き落としていくんだ。


まずは最初にあなたのことを賞賛と崇拝攻めにして、骨抜きにする。
そうすれば、虐待が本格化していけばいくほど、あなたは自分で自分の首を絞めるようになっていくからね。


虐待から立ち直ることに成功した人々の経験では、こうして話を聞かされた友人たちの多くが、被害者自身の言い分よりもむしろ、虐待者の立場を支持した、という。

そうなると、被害者としては生傷に塩を塗られるように辛い。
サイコパスがあなたのためにこしらえた棺桶に打ち込む最後の釘。
上で最後に述べた【落とし穴】というとどめの一発が、それに当たる。


こういう事態を避けるために、あなたは一体どうすればいいのか。

とにかく、誰に対しても弁解めいたことは一切言わないこと。
それに尽きる。

わかるよ。誰かに話さずにはいてもたってもいられない、そんな気持ちなんだろう?

でもね、今、あなたが唯一話をしてもいいのは、似たようなことを体験した人々だけ。
どうしても言わずにいられないのであれば、被害者グループの人々とシェアするか、自分の日記にぶちまけるかにとどめて置くのがいいよ。
それ以外はダメだ。


心理療法を受けるにあたっても注意が必要だ。

「マニピュレーター」【※注①】がよく使うマインドゲームの手口を熟知している専門家でなければ、わざわざ相談に行く意味が無い。


文庫 他人を支配したがる人たち (草思社文庫)
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B群クラスターパーソナリティ障害




の症例によく通じていること。
専門家を選ぶ上で、これは必須条件だ。


さもないと、あなたはまたもや被害者たたき【※注②】に遭って、さらなるダメージを受けることとなる。

【※注①:他人を陰で操る人。過去記事を参照してください。【コラム】マニピュレーターを見抜くにはhttp://sayonara-psychopath.blogspot.com/2016/12/blog-post.html 】

【※注②:被害者たたき=英語のvictim-blaming。 
「そりゃ、虐待者が悪いのはもちろんだよ。でも、あなたの方にも、落ち度があったんじゃないの?虐待されるだけの理由があなたにもあったんじゃないの?」 
と、事情をよく知らない人が無神経に発する、責めの言葉。】


これ以上、他人から「いい加減に忘れろよ」「人生に別れはつきものさ」などと言われるなんて、頼むから勘弁してくれ!だよね。


地獄から脱け出すために、救いの手を差し伸べてくれて、心の平和へとつながる道へと案内してくれる。
今、あなたにはそういう人が必要なんだ。


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あなたは狂ってなんかいない。
双極性障害なんかでもないし、気がふれてもいない。
過度に神経質なわけでも、嫉妬深いわけでも、愛情飢餓状態でもないよ。
あなたは、心を殺されるという虐待を受けながらも、立派に生き延びたサバイバーだ。
...今はどん底かもしれないけど、頑張れば外に出られる。
落ち着いて、忍耐強くふるまって。
自分への思いやりだけは決して忘れないで。


いつかきっと、この経験について堂々と、説得力のある自分の言葉でもって語れるようになるよ。
だから、他の人々に何もかもぶちまけるのはやめておこう。
自分が絶対に正しいってことを今すぐに分かってもらおう、なんてごり押しもやめよう。


そんなことしたら、それこそ、サイコパス野郎の思う壺だから。


とにかく、ズタボロに傷ついている間はあなたが何を言ったって無駄なんだ。
「悪いのはあんたの方じゃないの」
「メンタルやられてる人の言う事にしか聞こえないわ」
って、周囲からますますドン引きされるのが関の山だからね。


だから、こうしたバカバカしいゲームからは一切手を引こう。
ひどい目にあったのは、あなただけじゃない。仲間はいる。
「話の通じる人たち」を探し出すんだ。彼らにあなたの経験を聞いてもらおう。
そうしていくうちに、少しずつ、この悪夢のような一連の出来事の印象が変わっていくはずさ。
しまいには「ちょっと奇妙な、遠い昔のできごと」として笑い飛ばすことだってできるようになると思う。


サイコパスなんて、もうどうでもいい。
放って置け。


大事なのは、この後に待っている回復のプロセスの方なんだ。
そのプロセスを辿ることによって、あなたの中の全てが変わっていくのだから。