2018年2月7日水曜日

悪しき企み

ポイ捨ての一部始終を外から見れば、ごくテキトーに、行き当たりばったりに進められているかのような印象を受ける。


騙されちゃいけない。


計画の実行に至るまでには、数週間もの間ーーー数ヶ月、ではないにしてもーーーの準備期間があったはずだ。
その間、奴は陰で作戦をじっくりと練り続けていた。


あなたも、薄々は気付いていたかもしれない。
「あの人、私の方から別れを切り出して欲しいんじゃないか」って。
わざわざあなたの気に障るようなことを言ったり、実害を与えたり、といったことが続いたからね。
さすがのあなたでも「ああ、もうこの人は私との仲を修復するつもりなんて無いんだな」と思わないわけにはいかなくなる。


でも、あちらからはまだ何も言ってこない。
別れたい、などとはおくびにも出さないんだ。
「ひょっとして、あなた...?」とあなたが言おうものなら、向こうはきっぱり否定するだろう。
逆に、「君が悪いんだよ」「あなたのせいだ」と、悪者呼ばわりされて終わるだけ。
二人の関係がこじれているのは、全てあなたが勝手に墓穴を掘るようなことばかりしているせいだ、身から出た錆だ...と非難がましい態度に出てくる。
明らかに加虐者である自分の悪だくみには、一切触れようともしないで。


あなたはその後も必死に関係を元通りにしようと奔走する。
では、あいつは裏で一体何をしてるのか、って?
次のターゲットにさかんにアプローチかけているのさ。
もしかしたら、体の関係にまでとっくに進んでいるかもしれないね。


で、必ずと言っていいほど、奴はあなたの前でそのことをにおわせてくるはずだ。
怪しまずにはいられないようなヒントを随所にばら撒き、含みある言葉を残しておいて、あなたが我慢の限界に達して爆発するのを楽しみに待っているんだ。


当然、あなたの言動はますます不安定なものとなっていく。
すると、奴はそれを次の犠牲者に見せびらかすんだ。
「気の毒に。」と憐れんでもらうことで、相手との距離をぐっと縮めるつもりなのさ。
脈略も無くヒステリー起こしているような人物から届いたメッセージ以上に、読む者に「この人、狂ってる」と確信させる強力な証拠、他にあるだろうか?


「あの人、もう私には興味無いんだろうか...」
「嫉妬が強すぎて、ドン引きされてしまったのかも...」
寝ても覚めても考えるのはこんなことばかり。
少しも心休まる暇が無い。


そして迎えた、衝撃の破局。


数か月が経過した。


回復への道を歩み始めたあなたの中で、ようやくいろいろなことが噛み合い始める。


破局前に相手が演じたパフォーマンスの数々を振り返る余裕が生まれて、いろいろな事が腑に落ちるようになっていく。
今までバラバラだった事実のピースが徐々につながり、全体像が明らかになっていく。


最初はあまりのショックに「信じられない」という気持ちだろうね。
まさか、相手があそこまでの悪だくみをする奴だったなんて。
あなたが否定したくなるのも無理はない。
でも、自分がいかに長い間騙されていたかに気付いた瞬間には、思わず吐き気を覚えるほどの嫌な気持ちがこみ上げたのではないかな。


「新しい人が出来た時点でさっさと終わらせてくれた方がまだ良かった。どうしてずるずると二股交際を続けたんだろう?」
相手の意図が全く読めない。


要するに、奴はあなたのことをあからさまに無視していたわけだ。
「忙しいんだ」と逃げていた。
でも、それ、仕事で忙しいわけじゃなかったんだね。
仕事は仕事でも、「ベッドの上での仕事」だったとは。


これほどのゲス野郎/ゲス女からモンスター呼ばわりされる筋合いなんて、少しも無いんだけれどね。
なのに、あなたはずっとそう思い込まされていた。


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申し渡し

サイコパス人間は、別れを告げる時ですら、あくまで冷淡かつ不誠実な印象しか与えない。
ひどい時にはメール一本、メッセージ一つで、あっさりとあなたに「用済み宣言」をする。
ここまで粗末に扱われては、あなただっていたたまれない気持ちになるだろう。


あちらがつらつらと綴ってくるのは、もっぱら自分、そして自分の「気持ち」についての事ばかり。
「もうこれ以上今みたいな状態には付き合ってられないから」と、言い訳ばかりくどくどと書き連ねている。


相手からの申し渡しを前にして、あなたの心は麻痺状態に陥り、何も感じなくなってしまう。
いつかはこの時が来るだろうとの予感は、確かにあった。
でも実際起こってみると、とても信じられないという思いでいっぱいだ...。


昔の彼女・彼にまつわるワード・サラダ【注】をふんだんに盛り込みながら、あなたが最近どれだけ変わり果ててしまったかを嘆きはするものの、肝心の新しいお相手に関しては一言も漏らそうとはしない。
憐れみ(あなたに対しての)と、妙な快活さとが、代わる代わるに顔を出す。

【注】相手への責任転嫁と攪乱とを目的とした、意味不明な言葉のごた混ぜ。詳しくは過去記事をご覧ください。 
「ワード・サラダ ~一体、何が言いたいの?【1】」http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/1.html 
「ワード・サラダ ~一体、何が言いたいの?【2】」http://sayonara-psychopath.blogspot.com/2015/05/2.html

「どうして!? よりによってこんな時に来るなんて!」
これ以上不都合な状況など無いだろうに、とのタイミングを見計らって、あいつらはあなたを捨てにかかってくるはずだ。


例えば、遠距離恋愛中のカップルの場合。
遠くに住むあなたの方からあいつを訪問させるように仕向けておき、目的地へと向かう旅の途中でいきなり「ポイ捨て」宣言、ってことをやるんだよね、あの手の奴って。
計画していた旅行プランは全て台無し。
しかもあなたは見知らぬ土地でたった一人きり。
あなたを発狂させるには、これ以上無いって程の絶好の条件が揃っている。
そこに至るまでの間、あなたを苛んでいた混乱、そして劣等感は、これで確実に倍増するに違いない。


捨てられたあなたの心はがらんどうとなる。
僕としては、これを「鬱」と呼ぶわけにはいかない。
だって、「鬱」なんてもんじゃないんだから、あの空虚さと来たら。


魂が死に絶えてしまったかのよう。
そんな瞬間が、遂にあなたにも訪れてしまった。



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